マイクログリッド

昨日は北九州市立大学で、米国国立ローレンスバークレー研究所のChris Marnay博士の講演会。さてマイクログリッドとは、電力会社などが供給する系統電力(マクログリッドに対し、複数の小さな分散型電源と蓄電、蓄熱装置などを組み合わせて、特定地域内で電力と熱の供給を行う仕組みのこと。博士は米国におけるマイクログリッドのパイオニアである。博士はCERTSと呼ばれるコンソーシアムで研究をおこなっておられ詳しくはそちらを参照していただきたい。

博士のプレゼンでは、主に巨大な一つの建物の電力と熱の供給について語られており、一見ただのコジェネの組み合わせ、もしくは地域冷暖房の話かと短絡的に思ってしまうが、実はCERTSのRがReliabilityであることから分かるように、電力の供給の質と信頼性が焦点である。つまり、本来電力需要には、高い信頼性が必要な軍需や医療、金融やIT関係などもあれば、それほど重要ではない農業用の揚水ポンプのようなものもあるが、関係なく高品質の電力が供給されている。この需要を必要な信頼性により分類し、それぞれにふさわしい信頼性の電力を供給しつつ、コジェネで熱を有効に使おうというものだ。このWebサイトにも詳しい説明がある。

さて、日本におけるマイクログリッドといえば、最近ニュースでも報道されたように八戸でNEDOの助成を受けて行われている実証実験のように、複数のサイトにある分散型電熱源(主として電源)をネットワーク化し、信頼性を高めて供給しようというものに注目が集まっている。

ここで云うマイクログリッドと博士の云うマイクログリッドには根本的な違いがあることがわかる。それは系統電力に対する信頼性の違いである。日米の違いといっても良い。博士の説明では、アメリカの信頼性は99%、日本は99.9%。この0.9%の違いが根本的なアプローチの違いとなっているようだ。つまり、分散型電源の信頼性が系統よりも高いか低いかが日米によって異なるのだ。この辺をちゃんと理解しておかないといけない。


0.9%の違い云々のところに質問があったので、僕なりにもう一度考えてみました。例えば信頼性99%と99.9%の違いを考えてみると、100日に1日停電があるのと、1000日に1日停電があるのとの違いと云えば分かりやすい。99%がどの程度のものか直感的に理解出来ると思う。さて日本は99.9%となっていたが、感覚的にはもっと高いだろう。

さて、CERTSのマイクログリッドはそのようなアメリカの系統電力の信頼性を背景に、如何に信頼性を高め、コストを下げ、省エネを実現するかを目的にしている。つまり、分散型電源の方が信頼性が高いという認識があるのだ。一方、日本では、分散型電源、例えば分散型電源を系統電力につなげようとすると、電力会社は基本的にはいい顔をしない。ただし、新エネルギー利用特別措置(RPS)法によって購入を義務づけ裸れている、自然エネルギーだけは別だけである。例えば燃料電池などは、環境に優しいイメージが強いが、現状では多くが化石燃料を原料としており、RPS法の対象となっていない。よって、逆潮もしてくれない(買ってくれない)。この根底には、系統よりも分散型電源の信頼性と品質が劣るという認識があるからに他ならない。その為、分散型電源の運転方法は電主(電力負荷に追従して運転する)とならざるを得ず、その為部分負荷運転が避けられない。ご存じのように、何でも中途半端な運転をすると燃費は悪くなる。

さて、とすれば、日本は全体のコストを下げるために系統の信頼性を犠牲にするような選択をするだろうか? 無論、選択肢としてはあり得る。様々な選択肢がある。

再びであるが、こういう背景があることを理解しなければならない。

マイクログリッド” への1件のフィードバック

  1. TBありがとうございました。「環境の世紀」のakihitoです。「この0.9%の違いが根本的なアプローチの違いとなっているようだ。つまり、分散型電源の信頼性が系統よりも高いか低いかが日米によって異なるのだ。この辺をちゃんと理解しておかないといけない。 」という部分をもう少し詳しく教えていただけませんでしょうか。おもしろそうなものですから(^^ゞ

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